アダム・ブースのことば

 私の作品の主なモチーフとなっているのは、桃、白象と珍奇な鳥たちです。作品の中で桃は、空から落ちては浮び、時には燃えるなど、現実の桃とは考えられません。アジア文化では、桃は長寿のシンボルであり、人間の欲望の象徴だと考えられていますが、その欲望は神によって禁じられています。私の作品では、桃は人間の叶わぬ欲望、手の届かない希望を示す媒体となっています。象は、様々な大きさや形に姿を変え、認識できないほどに変化し、また浮かび上がることもあります。象の姿を変化させることにより、事実と現実に対する疑問を感じさせたいと思います。そして珍奇な鳥は、その白象と桃の間に緊張を感じさせるための存在です。美術史を通して鳥も白象も吉兆の象徴ですが、私の作品ではそれらに疑惑も感じられます。絵の矛盾によって、物の関係が変貌し、桃に対する鳥と象の意図はなんであろうかと考えていただきたいと思います。